子供の頃、夏休みになると
昆虫を捕りに遠く離れた雑木林に行った。
その頃は、見るもの何もかもが珍しく、
未知の世界への魅力と
自然への畏怖が混在していた。
雑木林には墓地があり
足を踏み入れると真昼でも薄暗く、
どこからか、聞いたことのない
鳴き声が聞こえてくる。
若干の恐怖心があるために
風に揺れる樹々の音や
草の擦れ合う何でもない音が
増幅して聞こえる。
しばらく行くと
水の流れる沢の音が聞こえてきた…
と、そのとき突然足下から大きな鳥が
バサバサと飛び出し、
驚きと恐怖で立ちすくんだ経験がある。
家に帰ってから
「あの大きな赤い鳥は何だったのか?
いつかまた雑木林に行って
もう一度探してみよう…」
と胸がワクワクしたことを覚えている。
野鳥撮影はそんな
子供の頃の感覚に似ている。